日本を代表する調味料の一つ、ワサビ。その特性や栽培方法、味わいには奥深さがあり、国内外で注目されています。しかし、日常で食べられる「ワサビ」の多くが本物ではないことをご存じでしょうか?
静岡の伝統技術と本物のワサビ
本物のワサビ、いわゆる本わさびは、日本国内で限られた量しか栽培されていません。特に、静岡県で発展した「静岡水わさびの伝統栽培」は世界農業遺産にも認定されており、その特徴的な栽培法が評価されています。この方法では、清らかな水と適切な温度環境を維持しながら畳石式栽培などの技術を駆使。数百年の歴史を持ち、徳川家康が広めたとも言われています。
本わさびの収穫には一年以上の歳月が必要で、高品質のわさびを育てるためには、経験と技術が欠かせません。このような忍耐と努力が、日本の伝統的農業技術の価値を高めています。
練りワサビと本わさびの違い
一般的なスーパーなどで売られている練りワサビは、「セイヨウワサビ」(ホースラディッシュ)を原料としています。これに緑色の着色料を加え、本わさび風に仕上げたものがほとんどです。ホースラディッシュは栽培が容易でコストが低いため、広く普及しています。一方、本わさびは流通量が限られ、高級レストランや特別な場で使われることが多いです。
本物のワサビの味わい
本わさびの最大の特徴は、そのフレッシュな風味と複雑な味わいです。辛味の主成分「アリルイソチオシアネート」は、すりおろした直後に生成され、時間が経つと揮発してしまいます。このため、辛さは控えめで、鼻に抜ける爽やかな香りと自然な甘味を楽しむことができます。
世界でのワサビ
海外の寿司店や日本料理店で提供される「ワサビ」のほとんども、ホースラディッシュが使用されています。ただし、高級寿司店や日本料理の専門店では、本物の本わさびが使われることもあります。
ワサビの楽しみ方
本物のワサビを楽しむためには、鮮度が重要です。また、その違いを知ることが、日本文化の深い理解にもつながります。わさび生産者たちがどのように伝統を守り続けているかに関心を持ち、直接産地を訪れるのもおすすめです。
日本の伝統的農業の一端である本わさび。その特別な魅力を、ぜひ味わってみてください。
参考文献
・農林水産省. (2020). aff 2020年12月号 達人レシピ. 2024年12月2日アクセス,
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・Wasabi協会. (n.d.). わさびについて. 2024年12月2日アクセス,
・山根 京子. (2020, November 6). 日本に「ワサビ食文化」が定着した納得の理由: トウガラシよりも日本の食に浸透した背景. 東洋経済オンライン. 2024年12月2日アクセス,
https://toyokeizai.net/articles/-/381805
・AFPBB News. (2021, January 1). 世界中で人気の「ワサビ」、日本産に限られる理由. AFPBB News.2024年12月2日アクセス , from https://www.afpbb.com/articles/-/3321868
・伊豆市. (n.d.). 伊豆わさびの魅力と栽培方法. 伊豆市公式ウェブサイト. 2024年12月2日アクセス,
https://www.city.izu.shizuoka.jp/soshiki/1027/4/2/3/izuwasabi/789.html